フィレンツェ・アカデミア美術館とは
イタリアのフィレンツェにあるアカデミア美術館と言えば、この作品で世界的に有名です。
わかった!ダビデ像ね。
教科書で見たことあるよね。誰の作品か知ってる?
誰だっけ・・?
私を知らないのか!!
ひっ!ごめんなさい!
ルネッサンスの偉大な芸術家ミケランジェロの作品だよ。
アカデミア美術館に展示されるミケランジェロのダビデ像は、その壮大さで多くの訪問者を魅了します。
入場料金とチケット予約方法
入場料金
当日券 | WEB予約入場券 | |
---|---|---|
一般 | 12€ | 16€ |
18歳未満 | 入場無料 | 入場無料 |
アカデミア美術館はこじんまりとした美術館でありながら、イタリアではウフィツィ美術館、バチカン美術館に次ぐ入館者数を誇ります。間が悪いと2時間もの行列に並ぶ危険性もあるので、なるべく事前予約をしておくことをおすすめします。予約の方法は3つあります。
①電話予約
アカデミア美術館(Tel. +39 055 294883)に国際電話をして直接予約をとることが出来ます。
日本語は通じるの?
通じません。
はい。次
②公式サイトからのネット予約
アカデミア美術館の公式サイト(B-ticket)からイタリア語または英語で予約が出来ます。
英語で予約できるよ!
話すのは自信ないけど、ネット予約なら何とかなるかも
予約法を解説した日本語サイトもいっぱいあるから
③オプショナルツアーからのネット予約
Get Your Guideなどのオプショナルツアーのサイトからは日本語で申し込みが出来ます。
日本語で申し込めるんだ!これ、いいね。
多少割高になるけどやはり安心だよね。
アクセス、営業時間、休館日、所要時間
アクセス
- サンタマリアノベッラ駅から徒歩13分。
- ドゥオーモからはリカーソリ通りを一直線で徒歩6分。
歩いていけるの?
もちろん。フィレンツェって、観光名所がコンパクトにまとまってるんだ。
開館時間と休館日
イタリアの美術館は月曜が休みの所が多いから、旅程を組む時は注意してね。
所要時間の目安
ほとんどの観光客はとりあえずダビデが目当て。もしあなたもそうだとするなら、鑑賞の所要時間は1時間ぐらいで充分でしょう。美術好きだと1階(日本で言うところの2階)も巡って、約2時間ぐらいでしょうか。ダビデのギャラリー以外は比較的空いていますので、じっくり鑑賞することが出来ます。
見どころ
フロア・マップ
観光客の多くは0階(日本でいうところの1階)中心に鑑賞しているようです。この記事でも0階の各部屋を紹介していきます。なお展示替えで作品が移動している可能性もあるので、ご承知おき下さい。
- 入口
- コロッソホール
- 奴隷のギャラリー
- ダビデのグランドギャラリー
- バルトリーニ石膏模型ギャラリー
- a.パチーノの部屋 b.ジョットとジョッテスキの部屋 c.オルカーニャの部屋
- 楽器
- 企画展
- ブックショップ
- 後期ゴシック様式の作品(1階〜日本でいうところの2階)
- 後期ゴシック様式の作品(1階〜日本でいうところの2階)
- 後期ゴシック様式の作品(1階〜日本でいうところの2階)
- クラスルーム(1階〜日本でいうところの2階)
- 出口
入口
予約したかどうかによって、入口が変わります。予約なしの当日券での入場者は「ENTRANCE NOT RESERVED」と書かれたドアに並びます。サイトなどで予約済みの人は「ENTRANCE RESERVED」と書かれたドアに並びます。
コロッソホール
ジャンボローニャ
「サビニの女たちの略奪」
1582年の作品です。トスカーナ大公フランチェスコ一世・デ・メディチの命により、つくられました。古代ローマ建国神話を元にした、三人の男女のダイナミックなからみあいは迫力があります。マニエリスム彫刻の傑作の石膏模型です。同じ作品の大理石のものが、シニョーリア広場のロッジアにもあります。
サンドロ・ボッティチェリ
「聖母子と聖ジョヴァンニーノと二天使」
ボッティチェリの初期、1470年頃の作品です。聖母のクールな表情はフィリッポ・リッピ(ボッティチェリの師匠)のタッチを受け継いでいます。
サンドロ・ボッティチェリ
「海の聖母」
フィリッピーノ・リッピとペルジーノ
「十字架降架」
フィリッポ・リッピの息子・フィリッピーノ・リッピに依頼された祭壇画でしたが、制作途中でリッピは死去。ピエトロ・ペルジーノによって、1507年に完成したそうです。若き日のラファエロもアシスタントとして加わっている説もあります。
フィリッピーノ・リッピ
「マグダラのマリア」
ジョヴァンニ・アントニオ・ソリアーニ
「無原罪の御宿り」
パオロ・ウッチェロ
「修道士の1シーン」
遠近法にこだわった画家として有名な、ウッチェッロの1460年代の作品です。
奴隷のギャラリー
ダビデ像を奥に控える両サイドに、名作が並んでいます。
フラ・バルトロメオ
「預言者イザイア」
フラ・バルトロメオ
「預言者ジョッベ」
ヤコポ・ダ・ポントルモ
「ヴィーナスとキューピッド」
1533年の作品です。ミケランジェロの下絵を元に、イタリアのマニエリスム期の画家・ポントルモによって描かれました。確かにヴィーナスの身体はミケランジェロっぽいですね。男性的なたくましい肉体を持つ女性です。
ミケーレ・ディ・リドルフォ・デル・ギルランダイオ
「Testa Ideale」
ダニエラ・ダ・ヴォルテッラ
「ミケランジェロの胸像」
1564〜66年頃の作品です。「神のごとき」と言われた彫刻家・画家・建築家(本人はあくまで「彫刻家が本職」と主張し続けた)の、ミケランジェロのデスマスクから作成されています。
作者のヴォルテッラは晩年のミケランジェロと親しく交わっていたことで知られます。ミケランジェロの死後、ヴァチカンの「最後の審判」に描かれた人物の裸身を覆う腰布を描かされたのもヴォルテッラです。おかげでヴォルテッラは「ズボン作り」と揶揄されることになります。
ミケランジェロ・ブオナローティ
「若い奴隷」
このギャラリーには、ローマ法王ユリウス二世の墓廟を飾るために作成していた「奴隷像」が未完のまま設置されています。(完成体2体はルーヴル美術館にあります)これは比較的制作が進んでますね。1525〜30年頃の作品です。
ミケランジェロ・ブオナローティ
「髭の奴隷」
奴隷像はすべて苦しみを表現しており、そこから逃れようとする姿を描いているそうです。
ミケランジェロ・ブオナローティ
「目覚める奴隷」
ミケランジェロ自身が言うように、石の中から生命を持って生まれてくるようです。
ミケランジェロ・ブオナローティ
「奴隷アトラス像」
1525〜30年頃の作品です。奴隷像シリーズは、気まぐれなユリウス二世の心変わりにより中断され、途中で放棄されてしまいます。ユリウス二世の思いつきの行動にミケランジェロは振り回され続け、何度も逃走しています。
結局ユリウス二世霊廟の完成には40年もの時を要することになってしまいました。でも、その気まぐれのおかげでシスティーナ礼拝堂の天井画が描かれることになるのです。
ミケランジェロ・ブオナローティ
「聖マタイ像」
1530年頃の作品です。ドゥオーモのファサードを飾るために作られたそうです。
ミケランジェロ・ブオナローティ
「パレストリーナのピエタ」
1555年頃の作品です。ミケランジェロのピエタといえば、ヴァチカンにあるものが有名ですが、それ以外にも生涯のテーマとしてピエタを作り続けています。ただしこの作品は真作かどうか疑問視する向きもあります。
ダビデのグランドギャラリー
ミケランジェロ・ブオナローティ
「ダビデ像」
世界で最も有名な彫刻作品「ダビデ像」です。1501〜1504年に作成されました。なんとミケランジェロ26〜29歳の作品です。
教科書で見たイメージを超えて、実物は4メートル以上の巨像で圧倒されます。
実は瞳はハート型になってるんですよね。下からだとわからないんですが。今まさに巨人ゴリアテに打ちかからんとする闘志に燃えています。
ヴァチカンの「ピエタ」で、若くして名声を不動のものにしたミケランジェロ。フィレンツェ政府は、フィレンツェ共和国の「自由と正義の精神」の象徴として、ミケランジェロに大理石彫刻を依頼しました。古代以来、1000年以上も造られなかった大理石による巨像彫刻です。
ダビデ像は古くは老人として作られることが多かったそうです。それが15世紀になるとドナテッロらによって、少年として作られるようになります。ミケランジェロはさらに考えを変化させ、究極の肉体美を持つ青年としてダビデを完成させました。
この作品は元々ドゥオーモの外壁を飾る予定で制作されました。下から見上げる構図をイメージして、頭部と手は大きめに造られています。しかしあまりの出来の素晴らしさに、別の公的な場所に置こうという話になりました。
この傑作を一体どこに設置するかで大議論になりました。ミケランジェロより20歳以上年上のレオナルド・ダ・ヴィンチはシニョーリア広場のロッジアに置くことを主張したそうです。
ロッジアに置くのがいいんじゃないかの?
わかってねえな、爺さん。ダビデは太陽の下におかないと意味ないの
ぐぬぬ。生意気な若造め・・
政庁舎の正面玄関前に置くっていうことで、OK?
結局、政庁舎(ヴェッキオ宮殿)の正面玄関前に置かれることになりました。それから何と400年近くも政庁舎(ヴェッキオ宮殿)前に置かれた後、1873年にアカデミア美術館に移されました。現在ヴェッキオ宮殿前にあるダビデ像は複製です。
この作品が制作された時代のフィレンツェは、まさに政治闘争の時代。ミケランジェロらを育んだメディチ家のロレンツォ豪華王は既に亡く、メディチ家は失策のため、フィレンツェを追われていました。
サンマルコ修道院長サヴォナローラの神権政治が幅をきかせますが、まもなく失脚。サヴォナローラはシニョーリア広場で火刑に処されます。その後、台頭したのはピエロ・ソデリーニ新執政官。ミケランジェロの友人でもありました。
ソデリーニ政権の書記官として、市民軍を組織しようと奮闘したのが、あのニッコロ・マキャベリでした。マキャベリは政治学の名著「君主論」を著した人物です。
「ダビデ像」は混迷する時代背景の中、フィレンツェの都市国家防衛の象徴を期待され、誕生したのです。
ダビデ像の左右にも素晴らしい絵画作品が展示されています。
ジュリアーノ・ブジャルディーニ
「聖母子と聖ジョヴァンニーノ」
フランチェスコ・サルヴィアーティ
「聖母子と聖ジョヴァンニーノと天使」
ヴァザーリの追随者
「聖バルバラ」
カルロ・ポルテッリ
「無原罪の御宿り」
ブロンズィーノ
「十字架降架」
ドメニコ・ギルランダイオ
「聖ステファノと聖ヤコポと聖ピエトロ」
アレッサンドロ・アッローリ
「聖母戴冠」
アレッサンドロ・アッローリ
「受胎告知」
オドアルド・ボッラーニ
「アカデミア美術館にて」
バルトリーニ石膏模型ギャラリー
ロレンツォ・バルトリーニ、ルイージ・パンパローニらの19世紀の彫刻家による石膏彫刻があります。
ロレンツォ・バルトリーニ
「エリザ・バチョッキの記念碑」
女神ミネルヴァに擬せられたこの女性は、19世紀初頭のトスカーナ大公夫人エリザ・ボナパルト・バチョッキです。フランス皇帝ナポレオン一世の妹ですが、ナポレオンの失脚とともにローマに亡命しました。
ロレンツォ・バルトリーニ
「サソリのニンフ」
a.パチーノの部屋 b.ジョットとジョッテスキの部屋 c.オルカーニャの部屋
14世紀の絵画が展示されています。
パチーノ・ディ・ブオナグイーダ
「生命の樹」
14世紀初めにジョット派の画家パチーノ・ブオナグイーダによって描かれた作品。もともとは修道院に飾られていたらしいですが、近代になってアカデミア美術館に移されたそうです。キリスト磔刑の図が木になっていて、そこから果実がなっているようです。で、その果実の中にイエスの物語が描かれている。天上には天国が描かれているようです。
ジョヴァンニ・ダ・ミラノ
「ピエタ」
この画家も14世紀の人で、やっぱりジョットの影響を強く受けているようです。イエスの身体なんてかなり立体的です。
ジョッティーノに帰属
「玉座の聖母子と洗礼者聖ジョヴァンニと聖ベルナルドと天使たち」
オルカーニャ
「玉座の聖母子と四聖人」
ジョット・ディ・ボンドーネ
「羊飼いの頭と羊の群れ」
ベルナルド・ダッディ
「聖母戴冠と聖人たち」
ベルナルド・ダッディは、ジョットの最も優秀で活発な弟子の 1 人でした。
ベルナルド・ダッディ
「聖母マリアと福音者聖ヨハネが描かれた十字架」
楽器の博物館
アカデミア美術館内には「楽器の博物館」が併設されており、そちらの展示も見ることが出来ます。ストラディバリウスのヴァイオリンは1挺数億円もするらしいですね。
ブックショップ
ショップも面白げなグッズたっぷりです。
出口
この行列です。
遅く行くと結構並びますので、予約を取るか、朝一に行くのがおススメです。繁忙期は朝でも予約しておいた方がいいかも知れません。